海のある街で、パグと暮らすという選択

湘南・藤沢。潮の香りを含んだ風が、日常の中にささやかな非日常を運んでくるこの街に、パグのバークくん(2歳)と暮らす江成さんがいます。

もともと北関東で生活していた江成さんにとって、「海の近くで暮らす」というのは、いつか叶えたいと思い続けてきた夢でした。
そしてもうひとつ、心の奥にずっとあった願いがあります。それが、「パグと暮らすこと」。

このふたつの想いが重なったとき、暮らしは“選択”から“決断”へと変わりました。

憧れだったパグという存在

   江成さんがパグに惹かれたきっかけは、幼い頃に観た“ムツゴロウ王国”の映画。そこに登場したパグの姿が、強く印象に残っていたといいます。

丸い目、しわの多い顔、どこか人間らしい表情。可愛らしさの中にある独特の存在感は、他の犬種にはない魅力です。

一方で江成さん自身も、これまで多くの犬と暮らしてきました。
MIX犬、ビーグル、アメリカンコッカー、ノーフォークテリア。
それぞれの個性と向き合いながら、家族の一員として迎えてきた経験があります。

しかし、パグだけは違いました。
「飼いたい」という気持ちはありながらも、家族の中でなかなかOKが出なかったのです。

理由は明確でした。
パグは見た目の愛らしさとは裏腹に、体温調節が苦手であったり、皮膚トラブルが起きやすかったりと、飼育において注意すべき点が多い犬種だからです。

それでもなお、心のどこかで「いつか」という気持ちは消えずに残り続けていました。




 

運命のような出会い

バークくんと出会ったのは、生後6ヶ月の頃。
ちょうどその時期、江成さんは仕事や生活に対して変化を求めていたタイミングでした。

「抱っこした瞬間に、直感的に思ったんです。“この子は連れて帰らないといけない”って」

それは単なる衝動ではなく、どこか責任感にも似た感情だったといいます。
もしこのままここに残ってしまったら――そんな思いが頭をよぎったそうです。

こうしてバークくんは、江成家の一員となりました。

外では臆病、家では堂々

迎え入れた当初、やはり気になったのはしつけや社交性の部分。
バークくんは少し臆病な性格で、散歩に出ても江成さんの後ろに隠れてしまうことが多かったといいます。

しかし、その姿は外だけのもの。

家に帰ると一変し、ベッドの上から家族を見下ろすような“堂々とした態度”に。
まるで自分がこの家の中心であるかのような振る舞いを見せることもあります。

「このギャップがすごく面白いんですよね。外ではあんなに控えめなのに、家ではすごく強気で(笑)」

さらに、寝るときは必ず体に巻きつくように寄り添ってくる甘えん坊な一面も。
この“ツンとデレ”のバランスこそ、パグの魅力のひとつと言えるかもしれません。

日常を彩る、小さな習慣

バークくんとの暮らしには、いくつもの“日常の楽しみ”があります。

例えば散歩の途中。
決まって立ち寄るコンビニでの焼き芋タイム。これがバークくんにとって何よりの楽しみです。

そのルートをしっかり覚えていて、近づくと自然と足が向く。
そんな姿に、思わず笑ってしまうといいます。

さらにユニークなのが「お風呂好き」という点。
一般的に犬は水を嫌がることが多いですが、バークくんは自分からお風呂に入りたがるそうです。

「気づいたら、お風呂場の前で待ってるんです。本当に珍しいですよね」

こうした何気ない出来事が、日々の生活に確かな豊かさをもたらしています。




 

犬がいることで変わる、生き方

バークくんを迎える前、江成さんの生活は仕事中心でした。
家に帰ってからも仕事を続けることが多く、オンとオフの境界はあいまいだったといいます。

しかし今は違います。

「帰る時間を意識するようになりました。待ってる存在がいるので」

家に帰れば、バークくんが全力で甘えてくる。
遊びを求め、そばにいることを求めてくるその存在に応えるため、自然と生活スタイルが変わっていきました。

結果として、家で仕事をすることはほとんどなくなり、
仕事とプライベートの切り替えが明確に。

これは単なる“ペットを飼う”という変化ではなく、
“人生の時間の使い方そのものが変わる”出来事だったといえるでしょう。

これから広がる、パグとの時間

現在はまだ近所の散歩が中心の生活。
それでも、お二人の中にはこれから叶えたい未来がいくつもあります。

「一緒に旅行に行きたいですね」
「いろんな場所に連れていって、いろんな経験をさせてあげたい」

さらに、パグ同士が集まるオフ会への参加にも興味があるそうです。
同じ犬種だからこそ分かり合える悩みや楽しさ。

コミュニティの中で広がる新たなつながりも、これからの楽しみのひとつです。

“かわいがる”を超えた関係へ

最後に印象的だったのは、ペットとの向き合い方についての言葉でした。

「大事にするのは当たり前。でも、それって“かわいがるだけ”じゃないと思うんです」

江成さんが大切にしているのは、人と犬の違いを理解したうえでの関係性。

すべてを人間に合わせるのではなく、かといって放任するわけでもない。

お互いが無理なく、自立した存在として共に暮らす。そのバランスを意識しているといいます。




 

パグと暮らすという選択がくれるもの

パグは決して“楽な犬種”ではありません。暑さに弱く、体調管理にも気を遣う必要があります。
皮膚のケアや日々の観察も欠かせません。

それでもなお、多くの人がパグに惹かれる理由。

それは、
その存在が、日常の質を根本から変えてしまうほどの力を持っているからです。

何気ない毎日が、少しだけ楽しくなる。
帰る理由ができる。
誰かのために時間を使う意味が生まれる。

海のある街で、パグと暮らす。
それは特別なことのようでいて、実は誰にでも開かれている選択肢です。

そしてその一歩は、
想像以上に豊かな人生へとつながっていくのかもしれません。

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